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4.6.1 調整のその他の使用方法
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異なるボイスの中にある音符をタイで結ぶ
以下の例は異なるボイスの中にある音符をタイで結ぶ方法を示しています。通常、タイで結べるのは同じボイスの中にある 2 つ音符だけです。2 つのボイスを使い、そのうちの 1 つにタイで結んだ音符を置きます:
そして、そのボイスの最初の上向き符幹を消します。これで、タイはボイスをまたがっているように見えます:
<< { \tweak Stem.transparent ##t b8~ 8\noBeam } \\ { b8[ g] } >>
符幹は表示されなくなっただけなので、タイの長さが十分ではありません。符幹の length
を 8
にセットすることで符幹を伸ばすことができます:
<< { \tweak Stem.transparent ##t \tweak Stem.length #8 b8~ 8\noBeam } \\ { b8[ g] } >>
今度は、グラフィカル オブジェクトの透明性を オーバライド することで実現します。これまでに説明した短縮形 \hide
を使います。調整と異なり、オーバライドは単一の音楽表記から生成されたプロパティにだけ効果を持ちます。\single
を用いてオーバライドを調整に変換することができので、上記の例を以下のように書き換えることができます:
<< { \single \hide Stem \single \hide Flag \tweak Stem.length #8 b8~ 8\noBeam } \\ { b8[ g] } >>
今回のケースでは、\once \hide
との違いははっきりしません。同じ音楽タイミングに複数のオブジェクトが存在する場合
(和音の中にある符頭のように)、この違いは重要になります。そのような場合、\once
はすべてのオブジェクトに影響を与えるのに対して、\single
は直後にある音楽表記によって生成されたただ 1 つのオブジェクトだけに影響を与えます。
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MIDI でフェルマータをシミュレートする
譜外部オブジェクトを出力から削除しようとする場合、そのオブジェクトの
transparent
プロパティではなく stencil
プロパティをオーバライドする方が通常は望ましいです。あるオブジェクトの stencil
プロパティを
#f
にセットすると、そのオブジェクトは出力から完全に削除されます。このことは、削除されたオブジェクトがそのオブジェクトとの相対位置で配置される他のオブジェクトの配置にまったく影響を及ぼさないということを意味します。
例えば、MIDI 出力でフェルマータをシミュレートするためにメトロノーム設定を変更したいとします。その場合、メトロノーム記号を出力に表示させたくありません。そして、それが 2 つのシステム (小節とその中にある表記) 間のスペースと、譜上にある隣接する注釈の位置に影響を与えることを望みません。そのため、そのメトロノーム記号の stencil
プロパティを
#f
にセットする方法が最良です。ここで、2 つの手法の結果を示します:
\score { \relative { % Visible tempo marking \tempo 4=120 a'4 a a \once \hide Score.MetronomeMark % Invisible tempo marking to lengthen fermata in MIDI \tempo 4=80 a4\fermata | % New tempo for next section \tempo 4=100 a4 a a a | } \layout { } \midi { } }
\score { \relative { % Visible tempo marking \tempo 4=120 a'4 a a \once \omit Score.MetronomeMark % Invisible tempo marking to lengthen fermata in MIDI \tempo 4=80 a4\fermata | % New tempo for next section \tempo 4=100 a4 a a a | } \layout { } \midi { } }
両方の手段とも、フェルマータ部分の演奏時間を伸ばすメトロノーム記号を出力から削除していて、両方とも MIDI の演奏に必要な効果を与えています。しかし、1 番目の例の透明なメトロノーム記号がそれに続く拍子指示を上に押し上げているのに対して、2 番目のメトロノーム記号 (ステンシルが削除されたもの) は押し上げていません。
参照
音楽用語集: system
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